研究概要 |
パイ中間子の原子核での役割の理論的研究を行った。その内容は大きく3つに表現できる。 1。核力を使って原子核を記述する方法を確立できた。 シェルモデル基底でパイ中間子の非相対論的表現であるテンソル力を2p-2h励起の方法で記述した。さらには短距離斥力をユニタリー演算子の方法で記述した。テンソル力も短距離斥力もうまく取り扱えることを示すことができた。He4の計算を実際に行い、核力の取り扱いがうまくいくことを示せた。さらには、Lill等の原子核を計算し、ハロー構造の出現を示すことが出来た。 2。カイラル対称性を持ったラグランジャンで原子核を記述する。 パイオンはカイラル対称性の自発的破れのゴールドストン粒子である。従って,このラグランジャンで原子核を扱うことが出来れば、カイラル対称性の破れの回復とパイ中間子の役割のどちらもを調べることができる。パイの角運動量が0の場合のみの計算で原子核のスピン軌道力の効果を導出できることを示した。さらに,角運動量が有限の場合の定式化を行った 3。カイラル対称性を持ったラグランジャンの量子効果と規格化 カイラル対称性を持ったラグランジャンの量子効果は非常に大きい。しかし,フェルミオン補正とボソン補正は逆符号を持っておりそれらを同じ枠組みで計算することにより,うまく量子効果の計算が可能になる非摂動的な方法を導入し、この補正が逆符号であることを示すことが出来た。原子核と有限温度系の計算を行った。
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