本研究では、電子ビームの縦方向位相空間(時間-エネルギー)での分布を電子バンチごとに高速測定するための手法を開発している。今年度は、昨年度設計製作したエアロジェル・チェレンコフ・モニターを、大阪大学産業科学研究所加速器量子ビーム実験室のLバンド電子ライナックのFELビーム輸送路に設置する作業を行った。続いてCCDカメラを用いてチェレンコフ光によりエネルギー・プロファイルを確認した。その後、光輸送系を構築してチェレンコフ光を測定室まで輸送し、ストリークカメラを用いて時間掃引を行い、位相空間プロファイルを取得できることを確認した。しかし電子ビームを位相空間内の分布として評価するためには、エネルギースペクトル上ではピークから離れたかなり強度の弱い裾野の領域まで画像を取得しないと全体像を評価できないことが判明した。そのため現状のシステムでは位相空間プロファイル全体を評価するためには3〜5回に分けて画像を取得した後、それらを1つのプロファイルに合成する必要があることがわかった。モニター上流側の偏向電磁石電流を変化させることにより、現状の測定系での取得画像内での位置とビームエネルギーの関係を評価した。また、電子ビームの加速RF位相を変えることにより、外部のRF源により励振される加速電場とビームが励起するウェーク場との合成電場を変化させ、バンチ内部の縦方向位相空間の電子分布が変化することを確認した。
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