研究課題
本研究では、電子ビームの縦方向位相空間(時間-エネルギー)分布を測定するために、エアロジェルを用いたチェレンコフ・ビームプロファイルモニタ、偏向電磁石、およびストリークカメラから成る縦方向位相空間測定システムを開発した。その後光輸送系を構築して、チェレンコフ光を加速器室から測定室まで輸送し、ストリークカメラを用いた時間掃引により位相空間プロファイルを取得した。ここでは輸送光学系の制約によりビームの中心軌道から±0.55%のエネルギー幅を測定することになり、エネルギー方向にスライスされた位相空間内の電子分布が得られる。モニター上流側の偏向電磁石磁場を掃引することで得られる複数のスライス画像を1つのプロファイルに合成し、縦方向位相空間内での電子分布を評価した。その結果、バンチ内部の縦方向位相空間の電子分布は、ビームが加速管内に励起するウェーク場の影響で正弦波形電場から大きく歪んだ形状をしていることを確認した。加速位相を変化させることでこの位相空間分布は劇的に変化するが、この変化はウェーク場の影響を考慮することで、ほぼ完全に説明できることを示した。また、電子は3段式のサブハーモニックバンチャーを用いたバンチングシステムにより位相空間内で折りたたまれ、同一の加速位相にエネルギーの異なる電子が存在することを視覚的に確認した。さらに発光体としてエアロジェルを用いたことでシステムの高感度化が図られ、かなり広範囲に広がった電子分布のテールを確認することができた。
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Proceedings of the 11th European Particle Accelerator Conference (EPAC'O8), Genoa, Italy
ページ: 1161-1163