研究課題/領域番号 |
18540275
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂本 眞人 神戸大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30183817)
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研究分担者 |
谷村 省吾 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (90273482)
竹永 和典 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (50379294)
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キーワード | 並進対称性 / 対称性の破れ / 高次元時空 / ゲージ理論 / 重力理論 / 量子力学的超対称性 / 有限温度 |
研究概要 |
本年度は研究計画に基づき、次の二つの研究について実施した。 (1)我々のこれまでの研究によって、5次元ゲージ理論および5次元重力理論の4次元スペクトラムには、余剰次元方向における量子力学的超対称性が隠れていることが明らかになった。これら4次元スペクトラムや量子力学的超対称性、さらには、量子補正は余剰次元方向の境界条件に強く依存することが分かっている。境界条件は点状相互作用ととらえることによって、より広いクラスに一般化することができる。そこで、もっとも一般的な点状相互作用と量子力学的超対称性の間の無矛盾性を詳しく考察することによって、5次元ゲージ理論においてゲージ対称性と矛盾しない境界条件のクラスを求めることに成功した。また、一般の境界条件に従う物質場による1ループ量子補正の計算で必要となるポワッソン和公式の一般化にも成功した。 (2)有限温度での高次元ゲージ理論の解析を行った。一般的な物質場と結合した高次元ゲージ理論の1ループ近似での有効ポテンシャルを求め、3つの異なる表式に表すことに成功した。それぞれの表式は、高温近似、低温近似、数値解析に適しているものである。これらの表式を用いて、低温側と高温側での真空構造を解析した結果、低温側では温度T=Oとした高次元理論の真空が実現され、高温側ではフェルミオンの寄与はなくなり温度方向の次元がなくなった1次元下がった理論での真空が実現されることがわかった。この結果から、高次元時空ではゲージ対称性の破れは予想に反して一般に高温でも起こりうること、あるいは、高温でも対称性の回復が起こらない場合があることが明らかとなった。宇宙論への応用が期待できる。
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