研究概要 |
ゲージ理論の有限温度・密度・曲率相構造と臨界現象を系統的に解析し、得られた臨界現象の下での時空構造の振る舞いを解明することを目的に研究を進めた.特に今年度は,強結合ゲージ理論の低エネルギー有効理論である4体フェルミ相互作用模型における動的対称性の破れが宇宙,及び星の構造に及ぼす影響を解析する処方を確立し,処方の有効性と予想される物理現象について研究を進めた.また,非平衡系を取り扱うための理論拡張を試みた.具体的な研究実績としては, 1 従来の研究成果から有限曲率、有限温度相構造が解明している4体フェルミ相互作用模型についてストレステンソルを求めこれをアインシュタイン方程式に代入することで,理論の相構造と静的宇宙解の関係について数値的に研究した.この結果,動的対称性の破れにより宇宙のスケールが増大すること等を明らかにした. 2 4体フェルミ相互作用模型の下で星の圧力と重力のバランスを記述するTOV方程式の数値解析を実施した.くりこみ不可能な理論に特有な正規化の処方による解析結果依存性に着目し,カラー超伝導状態にある星の半径に対する解析処方から来る不定性について明らかにした. 3 曲率と非線形系結合するφ^4理論について一様等方時空中での相構造を解析し,アインシュタイン方程式に極微の宇宙定数を持つ解が存在することを示した.得られた解は特殊解に過ぎないが,本模型による宇宙定数問題解決の可能性があることが明らかとなった. 4 非平衡系を取り扱う準備を進めるためThermo field dynamicsによる4体フェルミ相互作用模型の解析処方の開発を進めている. 得られた成果については論文で発表すると共に,国内外での学会,研究会等で報告した.また,関連する研究成果について分野を越えて,さまざまな研究者と議論し,研究のさらなる進展を図っている。
|