本年度は、特に強結合ゲージ理論の低エネルギー有効模型を用いた以下の解析を進めた。 1.極限状況下にあるゲージ理論の相構造とアインシュタイン方程式の解析 低エネルギー有効模型を用いた高密度状況下での相構造と状態方程式に対する発散の正規化による模型依存性を指摘し、主な模型における相構造、軽い中間子に関する現象論、球対称時空におけるアインシュタイン方程式の解と模型依存性を明らかにした。結果については、国際会議、学会等で報告、また、中間子に関する現象論を中心にまとめた論文を現在投稿中である。 2.時空構造に関する諸問題 前年度の解析結果を宇宙の加速膨張と暗黒エネルギー問題に適用した結果、単純なフェルミ粒子の相互作用模型では観測を説明できないということが明らかになった。このため、現在、摂動展開の高次補正項の導入、相互作用の拡張等による観測結果説明可能性に関する解析に取り掛かっている。 3.広い範囲の極限状況と非平衡過程の取り扱い処方の開発 前年度の調査結果を元にThermo Field Dynamics(TFD)の処方による相対論的場の量子論における非平衡過程の取り扱い方法を開発した。開発した処方は、湯川相互作用模型、動的対称性の破れの起きる4体フェルミ相互作用模型に適用し、結果を国際会議、学会等で報告した。 今年度の研究成果を元に、来年度は、ゲージ理論と有効模型の関係に着目する形で模型を拡張し、模型依存性の解消、加速膨張の説明可能性、及び非平衡過程の解析に関するさらなる解析を進める計画である。
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