本研究計画は、ゲージ理論における動的対称性の破れに対する有限温度・密度相構造と臨界現象を系統的に解析し、得られた臨界現象の下での時空構造の振る舞いを解明することを目的とする。具体的な研究計画は、以下の4つのテーマに絞って進めていく。 (1) 極限状況下でのゲージ理論の相構造解析ゲージ理論の低エネルギー有効理論である4体フェルミ相互作用模型とこれを拡張した模型について、有限温度、密度、曲率、及び時空のトポロジーが動的対称性の破れに与える効果について系統的な解析を行う。 (2) 極限状況下でのストレステンソルの計算動的対称性の破れが時空の構造に与える影響を調べるには、アインシュタイン方程式の右辺に現れるストレステンソルを求める必要がある。本研究では、特に(1)で調べた模型について、ストレステンソルを計算する。 (3) アインシュタイン方程式の解析 アインシュタイン方程式を数値的に解析し、動的対称性の破れが時空の構造に与える影響を調べる。対称性の高い時空、及び静的な高密度星から解析を進めていき、動的対称性の破れが引き起こす現象を解明する。 (4) 非平衡過程取り扱い処方の開発 宇宙の進化を追う上で重要になる非平衡過程について、非平衡Thermo-Field Dynamicsによる方法を相対論的な系に適用し、その解析処方を開発する。
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