• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

相対論的重イオン衝突実験で見られる動的相転移とクォーク・グルオン多体系の物性研究

研究課題

研究課題/領域番号 18540278
研究機関高知大学

研究代表者

津江 保彦  高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (10253337)

キーワードクォーク・グルオンプラズマ / カイラル対称性 / 動的相転移 / QCD物性 / 高エネルギー原子核衝突 / 多体系 / 変分法
研究概要

研究代表者が開発してきたスクィーズ状態を用いた時間依存変分法を線型シグマ模型に適用し、物理的なパイ中間子、シグマ中間子にはパイオン対やパイオン-シグマ中間子対励起を取り込まないとゴールドストンの定理が満足されないこと、及び中間子質量が再現できないことを示し、この変分法では自動的にこれらの中間子対励起が取り込まれることを明確にした。これは研究代表者の変分的手法が場の理論を用いるハドロン多体系の研究にも適し、利点があることを示し、意義のある研究成果である。さらにこのモデルを有限温度に拡張して線型シグマ模型での有限温度カイラル相転移の様相を明らかにした。すなわち、モデルの運動量カットオフが比較的小さいときは2次相転移であるが、カットオフを大きくとると相転移は1次的になること、及びパイオン質量が仮想的に小さいときにも相転移は1次になることを示し、モデルのカットオフのとり方に注意を喚起した。線型シグマ模型でのカイラル相転移の次数についての研究は長らく考察されており、一つの理解を与えた点で重要である。また他に、グルオン多体系の物性研究として、QCDのグルオン系に対する時間依存変分法を構築し、量子グルオン場をリュービル・フォンノイマン型の方程式に定式化した。この手法をグルオン多体系としてのグルオン流体のずれ粘性係数の計算に適用した。量子グルオン場に対し、QCDの結合定数の最低次までではあるが、量子グルオン流体のずれ粘性係数は有限温度の場合もOとなることを初めて示し、量子グルオン流体に対する物性研究の一つの結果を与えた点で重要であると考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Variational Approach to the Chiral Phase Transition in the Linear Sigma Model2009

    • 著者名/発表者名
      Y. Tsue, et. al.
    • 雑誌名

      Progress of Theoretical Physics 121

      ページ: 577-591

    • 査読あり
  • [学会発表] 変分法による線型シグマ模型での有限温度カイラル相転移2008

    • 著者名/発表者名
      津江保彦
    • 学会等名
      日本物理学会2008年秋季大会
    • 発表場所
      山形大学
    • 年月日
      2008-09-20

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi