研究課題/領域番号 |
18540283
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
セルゲイ Vケトフ 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70347269)
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研究分担者 |
ケスト マーチン 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (10295470)
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キーワード | Supersymmetry / Supergravity / Superstrings / Noncommutativity |
研究概要 |
この二年聞、我々は二つのテーマを集中的に研究した。 一つは、非常に初期の宇宙における幾何学的インフレーションの新たなメカニズムを案出することである。このメカニズムは、アインシュタイン重力に対する、超弦理論由来の量子補正に基づく。最大の補正は時空の曲率の4次の項であり、四次元時空上でのその詳細な構造は、Bel-Robinsonテンソルの二乗で与えられる。我々は、高階微分を含む一般化されたFriedmann方程式をFRW宇宙論において導出し、その方程式が厳密解としてインフレーション解(de Sitter解)を持つことを発見した。 二つ目のテーマとして我々は、generic matter couplingを持つN=1/2超重力を、四次元上で初めて定式化した。N=1/2局所超対称性のみを持つ"最小"の超重力理論の中にすべての素粒子を統一する際、この定式化が役立つかもしれない。我々の案出したインフレーションのシナリオは、完全に幾何学的であり、新たなスカラー粒子(inflaton)やスカラーポテンシャルを必要としない。ただし、インフレーションにおけるe-foldingの回数の現実的な値を得ることが、未解決の問題として残っている。物質場を含むN=1/2超重力理論を作る際、我々はN=2超共形テンソル解析にreductionおよびtruncationをして利用したが、このことは、N=1/2局所超対称性理論において、より一般的な結合が許されていることを示唆している。 これら二つの研究を完成させるうえで、何人かの世界的な専門家と相談する必要があった。そこで我々は、小玉英雄氏、中山優氏を招いて首都大の当研究室でセミナーをひらいた。さらに、海外に出張して、外国の専門家と議論したり相談したりした。特にKetovは、フィンランドのヘルシンキ大学のM. Chaichian教授、ドイツのハノーファー大学のO. Lechtenfeld教授、フランスのマルセイユ大学のR. Grimm教授を訪ねた。M. Chaichian教授とO. Lechtenfeld教授は、非可換幾何学の世界的な専門家である。R. Grimm教授は、超重力理論の世界的な専門家である。 平成十九年度の科研費は、以上に挙げた目的に使われた。
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