研究概要 |
平成18年度は,研究代表者(糸山)の過去15年の研究の3つの大きなテーマであるところのi)行列模型,ii)紐理論及び場の理論に於ける可積分性の出現,iii)超対称性の破れの各々に対して着実な進歩があった. i)木原・吉岡と協力して,supercharge 4個をもつreduced matrix modelのpartition functionをすべての古典群に対して求めた.この結果はすでにNuclear Physicsに出版されている.この結果を使用して,orientifoldingの凝縮が見えてくる可能性を追究中である.これは以前に考察したnonabelian Berry phaseから得られる一般化されたYang-monopole connectionとも関係している可能性があり,興味深い. ii)大田と協力して,AdS_5×S^5 superstringsのlight-cone量子化を世界で初めて完全な形で行った.Dirac bracketを通じて,力学変数であるところのひもの埋め込み座標達の間に非可換性が生じていることが判明した.この結果はProgress of Theoretical Physicsに5月に出版される.現在はgiant magnon解の端点をblow upするdouble scaled superstring actionをこの仕事をもとにして構成中である.Bethe eigen state等の構成に対して有用であると思われる. iii)2004年度にその構成を行い,その後も継続的に研究を行っている,超対称性をN=2からN=1に自発的に破るFujiwara-Itoyama-Sakaguchi U(N) gauge模型に関して更なる進展があった.bare superpotentialによりN=1にあらわに超対称性を破る模型において知られているeffective superpotentialと行列模型のplanar free energyとの間の関係式(Dijkgraaf-Vafa relation)が,この模型において破れていることが判明した.さらなる著しい結果を求めて,研究が継続中である.
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