研究概要 |
新しい殻模型ハミルトニアンを用いてニュートリノ-原子核反応の断面積を再評価した。ハウザー・フェッシュバッハ理論に基づき、中性子、陽子、α粒子およびγ線放出のみならず、d,3He,多粒子放出チャネルまで含めた計算を行い、各チャネルへの反応断面積を求めた。4He,12Cからの荷電変換反応、中性カレント反応の断面積の従来のハミルトニアンによる結果からの変化が7Li,11B,10B等の軽元素の合成率の変化にどのように反映されるかを調べた。7Li,11Bの合成率が増大すること、10Bの合成率が減少することを示した。また、ニュートリノ振動の合成率への影響を調べ、合成率の比7Li/11Bが混合角θ_<13>の値を決める一つの方法である事を再確認した。一方,fp殻においては、新しい殻模型ハミルトニアンを用いた、56Niからのガモフ・テラー遷移、ニュートリノ-原子核反応の研究を行い、陽子放出断面積が従来のハミルトニアンの結果より増大し、Mn元素合成率の増大に導くことを示した。ガモフ・テラー遷移強度の分布・分散の重要性、重元素合成におけるニュートリノ過程の重要性を示した。 新しい殻模型ハミルトニアンの殻構造変化におけるテンソルカ成分の重要性を明らかにした。核力のテンソル成分の重要な役割をより効果的に殻模型ハミルトニアンに取り入れることによって、中性子過剰核の電磁的遷移の特異性、特に16C,18Cにおける電気四重極遷移の特異性、17Cにおける磁気双極子遷移の異常性をより良く説明できるようになった。
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