| 研究概要 |
本研究では現実的核力から出発して、変分法によって一様核物質の状態方程式(EOS)を求め、その結果を用いて、超新星爆発計算に適用可能な核物質EOSテーブルを作成することを目的とする。今年度はその第1段階として、現実的核力に基づき、絶対零度及び有限温度の一様核物質(対称核物質と中性子物質)のEOSを求めた。2体核力としてAV18ポテンシャル、3体核力としてUIXポテンシャルを用いた。
まず絶対零度の場合、Jastrow型波動関数を仮定し、2体核力までを考慮した核物質ハミルトニアンH2の期待値を2体クラスター近似で評価した。この際、healing distance条件を考慮することにより、Akmal, Pandharipande, Ravenhallらの変分計算結果を良く再現することに成功した。さらに3体力からのエネルギー寄与E3を付加する事で、全エネルギーEを求めた。ここでE3は調節パラメターを含み、それらの値を調節することで、Eの飽和点における経験値を再現した。得られた核物質EOSを用いて中性子星の解を求めたところ、最大質量は太陽質量の約2.2倍となった。
有限温度の場合、Schmidt, Pandharipande (SP)の方法に従い、ある温度Tにおける自由エネルギーF=U-TSを以下のように求めた。まず内部エネルギーUは、占有確率n(k)で特定される有限温度Jastrow波動関数によるH2の期待値にE3を加えた値として求めた。またエントロピーSは、Landauのフェルミ流体論に従いn(k)で記述した。そしてn(k)に含まれる有効質量m^*についてFを最小化した。得られた熱力学量は他の理論計算と比較してreasonableであり、またSPの方法が自己無矛盾である事も確認された。
さらに、今後必要となる非対轍物質一の拡張や非一様核物質一の拡張等について、準備計算を行った。
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