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2009 年度 実績報告書

強結合・非平衡系としてのQCD物質の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18540294
研究機関松本大学

研究代表者

室谷 心  松本大学, 総合経営学部, 教授 (70239557)

キーワードQGP / 相対論的粘性流体 / 緩和現象 / 多重発生 / 分子動力学 / 散乱理論 / ストレンジネス
研究概要

超高エネルギー重イオン散乱実験で作られるQCD物質の、時空発展を記述するための巨視的現象論的モデルとして,流体モデルの確立を目指してきた.近年特に活発に議論されている話題である,因果律を満足する相対論的流体方程式である双曲型のイスラエル・スチュアート方程式には,通常のナビエ・ストークス方程式に含まれる輸送係数に加えて5個の新たな輸送係数が含まれているが,この新たな輸送係数を微視的に与える系統的な処方箋は未だ確立していない.本研究では,局所平衡分布関数に基づく定式化に従って,新たな5個の輸送係数に対する久保公式を新たに導出し,さらに,ハドロン状態にあるQCD物質系について輸送係数を微視的に評価した.現在論文を投稿準備中である.
高温高密度ハドロン状態の熱力学的性質の微視的な導出に当たっては,基礎理論であるQCD理論に直接基づく満足できる処方箋はない.我々は,モンテカルロ型衝突事象生成コードURASiMA(Ultra-Relativistic A-A collision simulator based on Multiple Scattering Algorithm)を用いてハドロンの分子動力学的な計算Hadro-Molecular Dynamicsをおこなって統計力学的な解析を行っている.我々のHadro-Molecular Dynamicsの処方箋全体の理論整備を行い,シミュレーションの国際学会で報告した.
s-クォークのQCD相互作用への寄与を明らかにするために,K-π散乱の散乱長を格子ゲージ理論の数値シミュレーションで調べた.その結果,K-π散乱では,I=3/2チャンネル,I=1/2チャンネルいずれもカイラル極限の過程で引力から斥力への変化が見られ,カイラル極限では,どちらも斥力になるという結果が得られ,論文として発表した.我々の結果は,I=3/2チャンネル,I=1/2チャンネルの両方をきちんと格子ゲージ理論でシミュレートして計算した初めての結果である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Lattice study of Kπ scattering in I=3/2 and 1/2 channels2009

    • 著者名/発表者名
      J.Nagata, S.Muroya, A.Nakamura
    • 雑誌名

      Phys.Rev.C 80

      ページ: 045203

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Hadro-Molecular Dynamic Calculation2009

    • 著者名/発表者名
      Shin Muroya
    • 雑誌名

      the Proceedings of Asia Simulation Conference 2009(JSST 2009)

      ページ: ID050

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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