研究課題/領域番号 |
18540299
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
石原 信弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50044780)
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研究分担者 |
小濱 太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 共同研究員 (60100814)
喜多村 章一 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (60106599)
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キーワード | 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ質量 / マヨラナ粒子 |
研究概要 |
本年度はニュートリノレス二重ベータ崩壊実験装置のプロトタイプDCBA-T2を製作した。その概要は以下の通りである。 約1Bqの^<207>Biを直径3mmの円盤上に着床したものがソースプレートの中央付近2点に互いに反対向きに埋め込まれている。ソースプレートの両側にはそれぞれ40本のアノードワイヤー(金メッキタングステン、直径20ミクロン)が6mmピッチでZ方向(磁場方向)に張られている。ソースプレートとアノードワイヤー面の間隔は4mmである。アノードワイヤーと直角方向すなわちY方向にピックアップワイヤー(金メッキアルミニウム、直径80ミクロン)が6mmピッチで張られている。アノードワイヤー面とピックアップワイヤー面との間隔は2mmである。アノードワイヤー面から92mmの距離にカソードワイヤー(金メッキアルミニウム、直径80ミクロン)がZ方向に6mmピッチで張られている。アノードワイヤー面とカソードワイヤー面の間が電子飛跡の有感領域である。カソードワイヤー面から4mm離れた所に端部のソースプレートが配置されている。有感領域周辺の電界を整えるためにフィールドシェイピングワイヤー(金メッキアルミニウム、直径80ミクロン)が張られている。チェンバーはガス容器に入れられて空気の浸入が防止されている。ガス容器のエンドプレートには信号取り出しのためのフィードスルーコネクターが取り付けられており、内側ではワイヤーチェンバーからの信号ケーブルが接続され、外側ではプリアンプボードが直接接続されている。信号読み出しにはcPCI・FADCが用いられる。 DCBA-T2を運転して^<207>Biから放出される内部転換電子の飛跡を捕らえ、3次元再構成を行って運動量を測定し運動エネルギーを求めた。最も強度が高い電子のエネルギーは976keVであるが、それに対して予備的ではあるが約150keV (FWHM)のエネルギー分解能を得た。これを^<150>Ndの二重ベータ崩壊のQ値に対応させると約6%(FWHM)となるので、ニュートリノの有効質量感度として約30meVを持つ測定器が将来建設可能であることが分かった。
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