研究課題/領域番号 |
18540299
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
石原 信弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50044780)
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研究分担者 |
小濱 太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 共同研究員 (60100814)
喜多村 章一 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (60106599)
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キーワード | 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ質量 / マヨラナ粒子 |
研究概要 |
ニュートリノのマヨラナ性(粒子・反粒子の区別がないこと)と質量絶対値を知ることは新しい素粒子模型や宇宙創生のシナリオを確立する上で極めて重要である。ニュートリノレス二重ベータ崩壊は質量を持ったマヨラナ・ニュートリノを前提としているので、これらを求めることができる唯一の実験的方法である。DCBA(Drift Chamber Beta-ray Analyzer)実験は崩壊核(150Nd、100Mo等)から放出される2つのベータ線の個々の飛跡を一様磁場の中で捉え運動量を測定することによって運動エネルギーを求めるというユニークな方法をとっている。通常の熱量計によるエネルギー測定とは異なり、ガンマ線に不感であり、かつアルファ線を明確に識別できるので、バックグラウンドに極めて強いのが特徴である。また、運動量からエネルギーを求めるので、熱量計で不可欠なエネルギー校正が不要なのも有利な点である。本研究ではプロトタイプDCBA-T2を製作し実験した結果、976keVの電子線に対して約150keV(FWHM)のエネルギー分解能が得られること、また、改良すれば100keV(FWHM)以下に達することも可能であることが分かった。本実験結果を踏まえて、さらなる分解能の向上を実験的に示すためにDCBA-T3の設計を行った。運転コストを考慮すると測定器を設置する空間に2kGの一様磁場を発生させるには超伝導ソレノイドマグネットが有利であることも分かった。DCBAは構造的に単純であるので大量生産も可能である。この方式に基づいて将来測定器モジュールを20台から30台建設すれば、約30meVまでニュートリノ質量の絶対値を探索することができる。
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