大強度ビームの通過に耐えうる強度、冷却性能、遠隔メンテナンス性等を備えたビーム膜の開発・実用化は、J-PARCのような大強度陽子ビームを用いた実験を実現するには必要不可欠なものであり、非常に重要な意義を持つ。大強度ビームライン用ビーム膜の一例として、J-PARCニュートリノビームラインの一次ビームラインの真空系と標的用ヘリウムガス容器を分離する真空膜に関して、高エネルギニ加速器研究機構の技術職員の山岡広氏、小池重明氏、英国RAL研究所め技術職員のChristoper Densham氏、Vishal Francis氏、Matthew Booney氏、Michael Fitton氏の各氏と共同で、遠隔着脱できるフランジであるピローシールフランジの詳細設計を進め、その試作を行った。そして、真空リーク量などの基本的性能の確認を行い、ビームライシで実用できる性能であることを確認した。また、ステンレス製ピローシーフランジとチタン合金製二重膜との組立方式を検討し、実際のピローシール二重膜の試作品を作成した。また、カナダTRIUMF研究所のClive Mark氏、Mike Gallop氏らと共同で、遠隔着脱試験、遠隔移動試験を行い、問題点の洗い出しを行った。最終酌には、周辺の遮蔽設計やリモー トメンテナンス方法の検討、ヘリウムガス循環装置の検討も行い、実際にJ-PARC等で使用可能なビーム膜システム全体の設計を固めた。又、これらの研究は、高エネルギー加速器研究機構の技術職員の山野井豊氏の技術的助言に基づいている。
|