本研究ではタングステンワイヤーとシンチレーションファイバーを1対1の割合で組み込むことで、PWOを超える高密度サンプリングカロリメーターを開発することであった。シンチレーションファイバーを使うことでシンチレーション光の収集効率を高め、カロリメーターの感度を向上することを目指すことであった。 H18年度にはシンチレーションファイバーの応答特性をシンチレーション光量や減衰長を中心に調査して、十分な光量(1MeVエネルギーに対した40個の光電子)と長い減衰長(114cm)を確認した。1mmX1mm角のタングステンワイヤーの製作にも成功し、10mmX10mmX500mmのテストモジュールを製作して。宇宙線を用いたテストで47個の光電子(1MeVのエネルギーに対して)と250cmの減衰長が測定された。 H19年度には製作したテストモジュールを東北大・核理研で陽電子ビームを用いて、電磁カロリメーターとしての性能評価を行った。200MeVから800MeVまで入射エネルギーを変化しながら、モジュールの応答をFADCに記録し、入射エネルギーをどのぐらい正確に求められるかを確認した。分解能のエネルギー依存性は一般的に使われている分布を見せてあり、1GeVの入射エネルギーに対して13%の分解能を得ることになった。高密度のサンプリングカロリメーターであるので、作られた電磁シャワーがシンチレーションファイバーにエネルギーを渡す比率の揺動(Sampling Fluctuation)が主な原因であり、検出器として必要な光量は十分得られた結果になる。様々な実験の要求に合わせてコンバーターの材質、割合比を調整すると、輻射長と分解能を最適かすることができる。
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