研究課題
基盤研究(C)
大強度加速器に於ける炭素薄膜の短寿命を実現するために、炭素薄膜の高温度に於ける損傷を研究した。(1)大電流の負水素イオンビームを用いて、各種の炭素薄膜に照射する2500°K以上の高温状態を作り出すことが出来た。(2)2000°Kに於ける炭素薄膜の高温損傷(フォイルの変形、膜厚の減少、ピンホールの生成)を観測した。(3)200時間を越える安定なビーム照射による寿命試験を実施し、1500°K以上の高温度でも損傷の少ないハイブリッド型炭素薄膜を開発して、その長寿命性を実証した。(4)照射試験には(α)市販の電子ビーム蒸着型炭素薄膜(b)当機構に於いて新しく開発されたハイブリッド型炭素薄膜(c)米国SNS研究所で開発されたダイヤモンド薄膜(d)市販のダイヤモンド薄膜などの各種の炭素薄膜を使用し比較研究を行った。650KeVの負水素イオンビームでの照射試験中には、照射スポットの輝度温度を電子式光高温計により常時監視記録し、変形等の様子は写真撮影およびビデオ録画により詳細に観測された。パルスビーム照射による温度の時間構造、薄膜の照射後の膜厚減少測定およびラマン分光分析などは現在解析中である。さらに引き続き機関内経費処置により透過ビームの精密なエネルギー分析を実施する予定である。
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