研究概要 |
Riedo等により、摩擦力顕微鏡のティップ先端原子に働く摩擦力は、(1)高スキャン速度では飽和傾向を示し、(2)低スキャン速度では横方向の振動印加により共鳴減少することが示されている(Riedo et al., Phys.Rev.Lett.91(2003)84502)。有限温度の1次元Tomlinsonモデルの数値解析結果に基づいて、(1)、(2)の出現機構を調べた。(1)の摩擦力の速度飽和機構は、高スキャン速度では高次のスリップ運動が起こることにより説明された。(2)の外部振動印加による摩擦力の共鳴減少については、2種類の機構を提案した。一つはスキャン速度と基板の格子定数比の外部振動数で生じる同期共鳴減少であり、他の一つはスティック点での内部振動励起機構である。これらの共鳴周波数領域では、外部振動の振幅を基板格子定数の3倍程度大きくできれば、摩擦力消失の超潤滑が出現することを見出した。
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