摩擦力顕微鏡(FFM)を用いて原子スケールの摩擦力が測定されている。FFMのティップ先端部のサイズと硬さが摩擦力にどのような影響を及ぼすかを、ティップのたわみと基板との格子不整合を考慮できる、有限サイズのFrenkel-Kontrova-Tomlinsonモデルを用いて調べた。ティップ先端原子の有限温度での運動を、Langevin方程式を数値的に解いて調べた。 硬いティップでは、格子不整合の大きさに依存して特定のティップサイズ(マジックサイズ)で摩擦力が激減することを見出した。マジックサイズで、ティップー基板間の相互作用ポテンシャルの変調振幅が激減することによる。他方、軟らかいティップでは、温度効果により、ティップサイズが増大するにつれ、摩擦力が減少することを見出した。これは、ティップ先端原子のインコヒーレントなスリップ運動が熱的に誘起させることによる。 上の結果は論文にまとめ、現在、Phys. Rev・Bに投稿中である。
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