本研究の目的は、(1)結晶表面上のナノコンタクトの有限温度での滑り摩擦機構を解明し、(2)ナノコンタクトの摩擦を消失させる「超潤滑」の物理的起源と出現条件を明らかにすることである。 摩擦力件顕微鏡ティップ先端原子と基板間のナノコンタクトの、有限温度での摩擦機構を、1次元Tomlinsonモデルに基づいて調べた。 本年度は、摩擦力件顕微鏡のティップを振動させながらスキャンするときに観測される「共鳴超潤滑」現象の微視的な機構の解明を目指し、ティップ先端原子の運動の有限温度での分子動力学シミュレーションを行った。外部振動として、振動方向が基板表面に垂直な場合を考え、臨界振幅以上の振動に対して「共鳴超潤滑」が現れることを示し、絶対零度と室温での出現機構を明らかにした。共鳴超潤滑の、粘性係数、スキャン速度、温度に対する依存性を調べ、出現条件を明らかにした。 以上の結果は論文にまとめ、学術誌に投稿中である。
|