研究二年目の本年は入手したFeS-MnS系サンプルのFeとMnの組成比の確定と高圧力下赤外反射測定の実施を行い得られた結果を論文などで発表した:・サンプルのFeSとMnSの組成比は蛍光X線分析によりを調べた。その結果提供を受けたFeの仕込み量が29%、27%、25%の3種類の試料は実際にはFe=25%程度のもの2個と18%のもの1個であることが明らかになった。また、FeMnSはFe濃度が高くなると強磁性金属となるので磁場印加によりこれを確認した。 ・予備実験でラマン散乱と光吸収測定の可能性をチェックしたがいずれも満足のいくデータが得られる見込みが無かったので赤外反射の圧力効果から金属転移を観測することにした。 ・半導体であるFe=18%の試料を粉末化して高圧用ダイヤモンドアンビルセルのサンプル室に封入し、赤外反射測定で反射率の圧力依存性を調べた。その結果反射率は一度15GPaあたりで少し増加した後、22GPaから急増して25GPaで一定となるという結果を得た。この結果よりこの試料の金属転移は15GPaあたりからはじまり25GPaあたりで完了することが明らかになった。現在試料の格子定数の圧力依存性もあわせて調べている最中であり、その結果と付き合わせれば金属転移の初期過程が明らかにできる可能性がある。 今回得られた反射スペクトルの一部をロシアに送り、試料提供者である彼ら独自の研究結果と合わせてJETP Letters誌に投稿、掲載された。また、関連する内容はロシアで行われた二つの国際会議でもロシア側代表者により報告された。(以上「研究発表]の項参照)
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