研究課題
基盤研究(C)
本課題研究の初年度(平成18年度)は、中性子散乱実験に汎用的に施設全体で共用できるデータ解析演算子の実装を行うとともに、大きなサイズの実験データを迅速に解釈するための分散処理環境の研究開発をソフトウエア会社に依頼し仕様を満たす成果を得た。また、分光器グループのメンバーである研究分担者と分光器依存部分の解析機能の充実を図った。平成19年度は各分光器グループと協力して、実際に稼動する分光器環境のプロトタイプの構築を行った。19年度前半は、分光器環境の構築に必要なガイドラインの策定を主軸におき、各分光器ごとのユースケースの一覧を作成し構築時期の確定を行った。後半はプロトタイプの構築に注力し、本研究の代表者と研究分担者は各分光器グループと協力して基盤部分の未完成部分、不足部分の充実を図った。さらに上記と並行して昨年度の開発で残されていた分散処理環境におけるデータオブジェクトの送受信メソッドの改良を行った。本研究で開発するManyo-Libの扱うデータファイルフォーマットはNeXusであるため、NeXusに対応するための機能の拡充と機能の効率化を19年度に行った。また、この拡充/効率化は、大きなサイズのデータ解析に用いるネットワーク分散並列処理機能、データコンテナの機能拡充と重なる部分が大きいため合わせて行った。NeXusを研究施設としてサポートすることで、実験データと研究成果を国際的に共有できる体制が整ったことを意味し、本研究の目指す実験施設の国際化に大きく役立ったといえる。本研究の成果を使うことで、平成20年度初頭のJ-PARCの中性子散乱研究施設の使用開始とともに分光器の供用開始を可能とした。本課題研究の成果は、研究論文にまとめた上で査読つき雑誌へ投稿中である。
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