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2006 年度 実績報告書

ナノメートル領域に孤立した反強磁性三角スピン系の磁気状態の核磁気共鳴法による研究

研究課題

研究課題/領域番号 18540330
研究種目

基盤研究(C)

研究機関北海道大学

研究代表者

古川 裕次  北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (50280863)

キーワード分子磁性体 / スピンフラストレーション / 核磁気共鳴
研究概要

15個のV^<4+>イオン(S=1/2)から構成されるV15クラスター(K_6[V_<15>As_6O_<42>H_2O]・8H_2O)は、低温では3つのV^<4+>イオン(S=1/2)より作られる理想的なS=1/2の三角格子系と考えられ、スピンフラストレーションの効果を調べるのに非常に適した系として注目されている。本研究では、この系の磁気状態とスピンフラストレーションの関わりを微視的に調べる目的で、^3He-^4He希釈冷凍機を用いて極低温領域で^1H核および^<51>V核のNMRの測定を行った。以下にその主な結果を記す。
1.100mK程度の極低温領域において、S=1/2のスピンを持つ^<51>V核の信号の検出に世界で初めて成功し、S=3/2の基底状態でのV15クラスターの内部磁気構造を微視的に明らかにするとともに、ほぼ二重に縮退したS=1/2状態での波動関数を直接V^<4+>イオンのスピン状態を観測することによって決定した。
2.プロトン核の核スピン格子緩和時間T_1の温度(T=0.03-4.2K)及び磁場(H=0.4-8T)依存性を測定した結果、S=3/2が基底状態となるH>2.8Tの磁場領域では、1/T_1は温度減少に伴い急激な減少を示しこと、及び、二重縮退したS=1/2が基底状態である低磁場(H<2.8T)では、1/T_1が極低温で温度によらずに一定の値を示すことを見出した。この結果は、二重縮退したS=1/2が基底状態にある磁場領域において、温度に依らない磁気揺らぎが存在することを示しており、スピンフラストレーションに起因する量子揺らぎである可能性が考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] Spin structure of the nanoscale molecular magnet V15 cluster revealed by ^<51>V-NMR2007

    • 著者名/発表者名
      Y.Furukawa
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic Materials 310

      ページ: 1429

  • [雑誌論文] Low-Energy excitations in the S=1/2 molecular nanomagnet K_6[V_15 AS_6 O_42 (H_2O)]・8H_2O from USR and proton NMR2006

    • 著者名/発表者名
      D.Procissi
    • 雑誌名

      Physical Review B 73

      ページ: 184417

  • [雑誌論文] ^<51>V NMR studies on the naroscale molecular magnet V15 at very low temperature2006

    • 著者名/発表者名
      Y.Nishisaka
    • 雑誌名

      AIP Conference Proceedings 870

      ページ: 1143

  • [雑誌論文] Lsotope substitution effects on the spintunreling in the molecular nanomagnet Fe8 studied by ^<57>Fe-NMR2006

    • 著者名/発表者名
      Y.Furukawa
    • 雑誌名

      AIP Conference Proceedings 870

      ページ: 1147

  • [雑誌論文] Local spin distribution in antiferro magnetic molecular Rings probed by NMR2006

    • 著者名/発表者名
      E, Micotti
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 97

      ページ: 267204

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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