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2008 年度 実績報告書

物質の応答係数および第二種超伝導体の諸性質の定量的計算

研究課題

研究課題/領域番号 18540331
研究機関北海道大学

研究代表者

北 孝文  北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (20186224)

研究分担者 新井 正男  北海道大学, 独立行政法人物質・材料研究機構計算材料科学研究センター, 主任研究員 (40222723)
キーワード第二種超伝導体 / 応答係数
研究概要

アインシュタインは、彼が1905年に提出した特殊相対性理論の論文の中でローレンツ力に言及し、その磁場依存成分である磁気ローレンツ力が、電場中の荷電粒子に働く力から、相対性理論により自然に導かれることを指摘した。このように、磁気ローレンツ力は、相対性理論によりその存在が導かれる自然界の基本的な力の一つであり、あらゆる荷電粒子に働くことが期待される。しかし、超伝導体を理論的に記述するのに広く用いられるギンツブルグ-ランダウ方程式や準古典アイレンバーガー方程式では、超伝導電流に磁気ローレンツ力が働かないという結果が得られ、超伝導理論の基本的問題として未解決のまま残されてきた。代表者は、この問題に対し、2001年に準古典方程式の微視的導出に関する研究を行った。そして、方程式のゲージ不変性を適切に考慮することで、従来の準古典方程式に磁気ローレンツ力が自然に付け加わることを示していた。今年度の研究では、この磁気ローレンツ力を含む準古典方程式を熱平衡状態で具体的に解き、磁気ローレンツ力が超伝導電流にもたらす影響とその実験的検証方法を明らかにすることができた。熱平衡状態で散逸なく流れる超伝導電流は、マクロな反磁性電流であり、有限の磁場が付随する。一方、磁場下で荷電粒子が運動すると、磁気ローレンツ力を受け、粒子の軌道が曲がってゆくことになる。従って、超伝導電流が熱平衡状態で定常的に流れるには、ローレンツ力を打ち消す力がなければならない。上記の論文では、この力が電子の再配置によって生じる電場によりもたらされることを明らかにし、そのホール係数に対する理論的な表式を導出した。特に、超伝導体のエネルギー・ギャップに異方性のある場合には、ホール係数の符号が温度の関数として逆転する可能性のあることを初めて指摘した。これは、超伝導体の輸送係数についての新たな知見であり、ホール係数の符号反転問題の解明に契機を与える重要な結果である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Hall coefficient of equilibrium supercurrents flowing inside superconductors2009

    • 著者名/発表者名
      T. Kita
    • 雑誌名

      Physical Review B 79

      ページ: 024521-1-024521-6

    • 査読あり
  • [学会発表] 久保公式と線型Boltzmann方程式の同等性2009

    • 著者名/発表者名
      山下博雅
    • 学会等名
      日本物理学会2009年年次大会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2009-03-27
  • [学会発表] Conserving-Gapless理論による集団励起とその音波の解析2008

    • 著者名/発表者名
      近藤佳之
    • 学会等名
      日本物理学会2008年秋季大会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2008-09-22
  • [備考]

    • URL

      http://phys.sci.hokudai.ac.jp/~kita/index.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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