研究課題
基盤研究(C)
層状マンガン酸化物単結晶の残留磁気抵抗、磁歪及び磁化の緩和現象の研究磁場誘起型絶縁体・金属転移を示す層状マンガン酸化物単結晶の残留磁気抵抗、磁歪及び磁化の緩和現象の研究を行った。今年度は磁歪の圧力効果の研究を中心に行った。磁場誘起の強磁性金属転移を起こす2T付近で、c軸方向に大きく収縮し、a軸方向にわずかに伸張する。この体積の減少は、局在しているJT型の格子ポーラロンが遍歴状態になったことによると考えられる。圧力を印加することにより、強磁性金属へ転移する臨界磁場が抑制される。これはe_g電子を介した二重交換相互作用が強まったことを示唆する。面内に磁場を印加した場合も同様な振る舞いを示す。磁場をゼロに戻しても、残留磁歪が残るので相分離状態であることがわかる。残留磁歪の緩和曲線は、単純な指数関数ではなく、残留磁気抵抗及び磁化の緩和と同様に拡張指数関数で良く記述されることがわかった。近年、磁場誘起のメタ磁性転移を示すマンガン酸化物系において、非常に鋭い磁化のステップが低温領域で報告されている。次に我々は、このステップ状の強磁性金属転移の起源を探るために、磁場誘起型絶縁体・金属転移を示す層状マンガン酸化物単結晶の磁歪のステップ現象の研究を行った。この磁歪は、強磁性金属転移を伴う一次相転移であり、転移幅は、数ミリテスラ程度の鋭い変化を示す。試料の瞬間的な温度上昇は15Kにも達する。(巨大磁気熱量効果)ステップの大きさは冷却磁場の増加とともに減少し、冷却磁場が1.7T以上ではステップ状の変化は消える。この転移には常磁性マトリックスに存在する電荷整列クラスタが関係していると思われる。
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http://matsuhp.mat.iwate-u.ac.jp