研究課題/領域番号 |
18540335
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 正彦 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (60301040)
|
研究分担者 |
海老澤 丕道 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (90005439)
瀧澤 剛 東北大学, 大学院情報科学研究科, 技術補佐員 (80361161)
|
キーワード | 多重ジョセフソン接合 / 高温超伝導 / トポロジカル結晶 / 位相欠陥 / 走査型SQUID顕微鏡 |
研究概要 |
本年度はナノ構造における諸物性の解明を目指して次の各研究を行った。 (1)多重ジョセフソン接合系のダイナミクスの数値シミュレーションに基づく研究高温超伝導体に見られるような多重ジョセフソン接合系に関して、その各接合の位相差の時間発展を記述する微分方程式を数値的に解く事によって、定電流下および電流を変化させた場合などにおける発生電圧の振る舞いを明らかにした。特に、非線形方程式に特有のブリーザー・モードという解が、電圧の発生および超伝導状態から抵抗状態への遷移において重要な役割を果たしている事を見出し、日本物理学会および論文として発表した。 (2)リング状微小結晶の位相欠陥の分布に関する研究 NbSe3等のリング状のトポロジカル結晶における位相欠陥の分布を、線形弾性論の範囲内で考察し、リングの周長と厚さの関係によって、いくつかの位相欠陥分布の状態が可能である事を明らかにした。それによると、1ミクロン以上の周長の結晶の場合、(数ナノ・メートルといった極端に薄い結晶を除き)位相欠陥はほぼ一様に分布する事が分かった。また、周長が1ミクロン以下になると位相欠陥が動径方向の弾性的結合を壊してしまうような状況も実現する事が分かった。これらの結果は論文として発表した。 (3)走査型SQUID顕微鏡(SSM)の画像 SSMの画像の高解像度化を目指して、画像処理の応用による解像度改善の可能性について研究を行った。本年度は、数値的なシミュレーションを用いて、我々が従来から提案している方法の有効性を検証した。さらに、観測領域の周辺に磁場がゼロでない領域が存在する画像に逆変換を施すと、画像全体においてノイズが増強されてしまうという現象を確認した。この現象を克服するための改良法については現在検討中である。これらの結果は日本物理学会において発表した。
|