研究課題/領域番号 |
18540335
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
林 正彦 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (60301040)
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研究分担者 |
海老澤 丕道 秋田大学, 教養教育院, 総長特命教授 (90005439)
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キーワード | 電荷密度波 / ギンツブルグ・ランダウ理論 / リング結晶 / 超伝導 / Little-Parks効果 / シャピロ・ステップ / グラフェン / 近接効果 |
研究概要 |
(1) 前年度からBogoliubov-de Gennes理論に基づき電荷密度波のダイナミクスを記述する方法について検討を行ってきた。今年度は、これらの成果をふまえ、準粒子の自由度をあらわに考慮した形の、時間に依存するギンツブルグ・ランダウ方程式を半現象論的に導出し、その妥当性について数値計算によって確認した。この方程式は準粒子のマクロな自由度(密度および流れ)を変数として含むので、位相欠陥の運動に伴う準粒子-凝縮体間の電荷のやり取りを記述できる。この方程式に基づき、数値シミュレーションによって1次元の電荷密度波における滑り伝導を解析し、電極付近での準粒子の非平衡分布やその付近での位相欠陥の生成が再現できることを確認した。 (2) グラフェンは近年新しい物性研究の対象として注目されているが、本研究では超伝導との接合系について、特に準粒子による近接効果の特性に着目して研究を行った。具体的には超伝導体の間に単層または多層のグラフェンを挟んで接合系を作ったときに、超伝導電極間に流れる超伝導電流の大きさを温度および接合館距離の関数として計算した。なお、計算には電子のミクロな自由度を記述できる温度グリーン関数法を用いた。その結果、単層の場合には近接効果の特性は常伝導金属の場合と定性的に変わらないが、2層系の場合には準粒子の干渉効果による振動が現れることが分かった。今後はこれらの現象の実験的な検証可能性についてざらに考察をすすめたい。
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