研究課題
基盤研究(C)
良い超伝導体の作成は、低電力輸送や電力貯蔵、強力な磁石による高精度MRI装置を可能にすると期待されている。従来の超伝導は、格子変形(フォノン)を伴うことが知られており、磁気には著しく弱い欠点を持っている。ところが、高温超伝導体や、重い電子系と呼ばれる磁性が伝導特性に深く関わる物質でも超伝導が発見され、磁気(スピン)を内包した物質でも、超伝導が発現することが、近年明らかになって来た。さらに、このような物質では、磁気そのものが超伝導を発現させるための、主役を演じていることも解ってきた。このような新奇な超伝導を詳細に研究しうるようになったのは、Ce原子を含む重い電子系物質での圧力誘起超伝導が見いだされたからである。重い電子系での圧力誘起磁気媒介超伝導は、CeIn_3とCePd_2Si_2で初めて見いだされ、両物質とも磁気媒介超伝導体の典型的な例として研究が続けられている。本研究では、磁気媒介超伝導体CeIn_3を、さらに詳細に研究することを目的としている。その具体的方法は、磁気媒介超伝導のメカニズム解明に資するため、Ceの参照物質であるLaでCeを置換しつつ、格子定数・電気抵抗・磁化率の測定を行ない、さらに高圧下での電気定刻測定装置を建設し、圧力下での電気抵抗の振る舞いを明らかにすることである。平成18年度の1年間では、様々な濃度でLaを添加したCeIn_3を合成し、その格子定数の変化を観測した。ランタノイドコントラクションと呼ばれる、特有の振る舞いを示し、結晶育成に成功した。さらに、磁化率と常圧での電気抵抗を測定し、反強磁性秩序温度のLa濃度依存性を詳細に観測した。その結果、RKKY相互作用がLa濃度の増加とともに、直線的に減少して行くことを観測した。
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