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2006 年度 実績報告書

相関の強い電子系における超伝導転移温度の定量的評価を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 18540348
研究種目

基盤研究(C)

研究機関立命館大学

研究代表者

山田 耕作  立命館大学, 理工学部, 講師 (90013515)

キーワード高温超伝導 / 電子相関 / 重い電子系 / フェルミ液体 / 有効質量 / 繰り込み因子 / 有機超伝導体 / 異方的超伝導
研究概要

銅酸化物高温超伝導に代表される相関の強い電子系の超伝導の理論研究は20年になる。現在、重い電子系を含めて、クーロン斥力に起源を持つ超伝導はフェルミ液体論に基づいて理解されることが確立してきた。クーロン斥力は質量の繰り込まれた準粒子を形成する。この準粒子の間にクーロン斥力に由来する運動量に依存する引力が働き、p-波やd-波などの異方的超伝導を生じる。このとき、超伝導転移温度がどのように決まるのかが研究課題であった。
われわれは世界で初めて定量的な議論に成功した。それは次の2つの因子が重要である。
1.フェルミ面の準粒子間に働く相互作用の強さである。相互作用の等方的な部分はギャップ関数の符号の変化で打ち消されるので運動量に依存する部分が引力の強さを決定する。
2.超伝導は繰り込まれた準粒子のバンドのフェルミ面に超伝導ギャップを形成するので、準粒子バンドの幅がエネルギースケールを支配する。有効質量の繰り込み因子の逆数である、繰り込み因子が小さくなるとそれに比例して超伝導転移温度が低くなる。銅酸化物では繰り込み因子は1/10,有機超伝導体のそれは1/100,重い電子系では1/1000である。超伝導転移温度Tcはそれぞれ100K,10K,1Kと繰り込み因子に比例して低くなっている。
以上を実証すべく、d-p模型で2つの系の高温超電導体YBCOとLSCOに対してフェルミ液体論に基づく転移温度の計算を行った。現実には前者のYBCOが90Kの転移温度を持ち、後者のLSCOが40KのTcを持つ。有効質量はLSCOが2倍近く大きく、小さい繰り込み因子をもつ。これが電子相関が強いLSCOの転移温度を低くすることがわかった。この計算結果をJPSJの10月号に発表した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Study of superconducting Transition Temperature in d-p Model on Basis of Perturbation Theory2006

    • 著者名/発表者名
      S.Shinkai, H.Ikeda, K.Yamada
    • 雑誌名

      J. Phys. Soc. Jpn. 70, No. 10

      ページ: 104712

  • [雑誌論文] Calculation of Transition Probability for the Neutralization Process Of +1 Ion Based on the Nozie' res and Dominicis Theory2006

    • 著者名/発表者名
      S.Kondo, K.Yamada
    • 雑誌名

      J. Phys. Condens. Matter 18, No. 6

      ページ: 5911-5925

  • [雑誌論文] 電子相関と共に40年-高温超伝導の理論を中心として-2006

    • 著者名/発表者名
      山田耕作
    • 雑誌名

      固体物理 41, No. 7

      ページ: 475-485

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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