研究分担者 |
池田 直 岡山大学, 理学部, 教授 (00222894)
下村 晋 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00260216)
及川 健一 日本原子力研究開発機構, 中性子, 研究員 (80391332)
森 茂芙 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (20251613)
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研究概要 |
本年度は,FZ法により合成した単結晶試料の評価・電子顕微鏡観察,^11Bアイソトープを用いて合成した多結晶試料による中性子粉末パターンの解析を行った。まず,合成した単結晶を用いてメスバウアー分光を行ったところ,これまでの多結晶試料に比して吸収線が非常に鋭く,結晶性が明らかに良い事が確認された。電子顕微鏡観察においては,α軸方向への2倍周期を示す超格子反射が明瞭に観察され,温度上昇に伴い,その超格子構造が不整合構造になり,その後消失する事が判明した。これらは,輸送現象・メスバウアー分光・放射光による格子定数の温度変化等の示唆する電荷秩序配列一無秩序化転移と良く対応している。空間群の決定を目指し,高分解能電子顕微鏡観察も試みたが,電子線による試料劣化を抑える事が難しく,現在までのところ成功には至っていない。また,中性子粉末パターンの解析においては,α軸方向への2倍周期を取り込んだ構造モデルを仮定し,リートベルト解析を行ったところ,平均ボンド距離の違いにより,電荷秩序配列を示唆する結果が得られた。更に,酸素の熱振動因子がα軸方向に伸びた形である事も判明した。これらを基に,空間群の決定,電荷秩序配列パターンの決定を行うことが今後のテーマとなる。これらの成果の「部は英文論文2件,国内学会発表4件,として発表した。また,2008年1月26日には「Fe_2BO_4研究会」を開催し,共同研究者らが一堂に会して,磁性・メスバウアー分光・誘電率・輸送現象,および構造解析の立場で研究発表を行った。
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