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前年度に引き続きFe65(Ni_<1-x>Mn_x)_<35>系における「強磁性・反強磁性相関の空間的共存状態とその時間変化」の解明を磁化率・比熱などの巨視的測定と、中性子散乱測定により行なった。その結果、強磁性的・反強磁性的磁気クラスターが空間的に分離して存在する事、強磁性的クラスターはその大きさに応じて順次強磁性ネットワークに吸収され消滅する事などが結論された。さらに偏極中性子散乱実験により反強磁性的磁気クラスターの磁気構造についての知見を得た。しかし、反強磁性的磁気クラスターの温度・磁場変化に対する時間変化は検出できなかった。本課題研究期間の終了間際に重い電子系物質CeIr3Si2において偶然スピングラス物質での長時間緩和現象より格段に大きい中性子散乱強度の長時間変化を検出した。これは規則構造をもつ3次元磁性体では極めて異常な現象であり、多段階メタ磁性転移が示唆するように競合する磁気相互作用に起因する現象と考えられる。これまで非平衡、不均一な系特有の現象と考えられてきた長時間緩和現象が3次元規則磁性体において観測されたのは初めてである。本研究課題の成果を踏まえて上記現象の解明を目指す研究は平成21-23年度基盤研究(C)「時間分割中性子散乱法による磁気秩序形成過程の実時間追跡」として採択されたので一層の発展に向けて努力する。
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