研究概要 |
1.ガラス転移近傍での普遍的法則の研究 徳山は,自らが最近提案した分子場理論に基づき,様々なガラス形成物質における平均二乗変位のダイナミクスを詳細に解析・比較し,次の普遍的法則を見出した. 1)長時間自己拡散係数の値が同じであれば,例えどんなに体系が異なっていても,それらのマクロなダイナミクスは,分子場理論で提案されているマスターカーブで記述される. 2)長時間自己拡散係数はパラメータの非特異関数で記述され,ガラス転移点でゼロとなる特異性を示さない.また,漸近曲線は異なるメカニズムに対して普遍で,含まれる係数のみがメカニズムに依存する. 3)複雑な系のダイナミクスは,より簡単な系の研究により得られたデータを用いて模擬できる. 2.二種類の大規模計算機実験の遂行 徳山の提案した分子場理論を確かめる為に,剛体球流体および二成分レナードジョンズポテンシャル系に対する二種類の分子運動学的大規模シミュレーションを遂行し,理論を正当化しうる充分なデータを得た.現在この成果は,Physical Review Eに投稿中である. 3.薄膜内に閉込められた磁性コロイド鎖からなる分散系における,外部磁場変化によるガラス転移現象の研究 4.国際会議の開催 徳山は,ガラス転移現象のメカニズムを解明する為に、この分野で活躍する研究者(国外8名、国内14名)を仙台に集め、第4回複雑系国際ワークショップを1月10-12日に開催した.発表者の持ち時間を長く取ったことにより、活発な研究討論・議論が集中的になされ、これからの基礎研究の大いなる礎となった.
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