研究概要 |
1.ガラス転移に対する新しい理論の提案 ガラス転移現象を理解する為に,モード結合理論が提案されてから20数年になるが,近年その方程式の数値解が求められ,シミュレーション結果との比較が可能となった.しかし,最近徳山により提案された平均場理論の統一的観点から両者を比較すると,着目する粒子がまわりの粒子に閉じ込められるケージ効果が最も顕著な段階(β緩和段階)で,両者のダイナミクスは全く一致しないことが,徳山により明らかにされた.シミュレーションの結果は,平均場理論により,良く記述されることをベースとして,徳山はMori射影演算子法ではなく,Tokuyama-Mori射影演算子法を用いて,新しいモード結合理論を提案し,Physica Aに発表した.この理論の提案により,ガラス転移近傍での1粒子のダイナミクスに関する従来の考え方や結果を緊急に見直す必要が有ると考える. 2.国際会議の開催 徳山は,ガラス転移現象のメカニズムを解明する為に,この分野で活躍する研究者179名(国外88名(22カ国),国内91名)を仙台に集め,第5回複雑系国際ワークショップを9月25-28日に仙台で開催した.活発な研究討論・議論が集中的になされ、これからの基礎研究の大いなる礎となった.報告書はAmerican Institute of Physicsより2008年3月に出版された.
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