統計物理学や非線形物理学において発展された種々の解析的手法により、原子間相互作用を取り入れて、ボース・アインシュタイン凝縮体の生成機構と乗縮退の静的・動的性質を研究する。 (1)ボース粒子系とフェルミ粒子系の基本的特徴を明らかにする。現在、BCS-BECクロスオーバー現象として活発な研究が行なわれている課題である。 (2)相互作用が斥力か引力かによる基本的性質を明らかにする。フェシュバッハ共鳴による相互作用の制御や擬1次元への拘束による散乱長の変化などが実験的に観測されているので、より詳細な解析が興味深い。 (3)外部ポテンシャルの効果を議論する。BEC生成の全光学的プロセスが実現され、また、レーザー波干渉による光格子のトラップが可能になり、モット絶縁相-BEC相の転移などが議論できるようになった。 (4)原子の内部自由度が関与する現象を解析する。磁気トラップにおいては内部自由度(スピン)は凍結されていたが、光学トラップの成功により、多彩な非線形スピン動力学が議論できるようになった。このスピン自由度は、量子情報における量子ビットとしても注目されている。 以上の研究課題を着実に遂行し、多くの成果を挙げたいと考える。
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