研究概要 |
当該年度は研究計画の最終年度ということでそれなりの研究成果が出たと思う。論文リストを見ても10篇もの論文が報告されている。これらの論文は大雑把に4つに分類できる。そのうちの一つはガラス転移に関するもので、揺動散逸関係式を充たした摂動論を完成し、密度と運動量のみの保存則によるモデルでは、少なくとも1次摂動の範囲内ではエルゴード性が回復できないことを示した。この内容は京都での国際会議の招待講演で話した。次のカテゴリーの論文はジャミング転移に関するもので、せん断粉体系の大規模シミュレーションと平均場近似による理論が良好な一致を示すことでジャミング転移の臨界的性質の全容を明らかにした。この内容で大槻氏は物理学会シンポジウム講演を行っている。またせん断粉体系と液体系の長距離相関の詳細を明らかにした論文も発表し、ドイツの国際会議での招待講演でも発表している。最後に、ナノクラスターの衝突に関連した研究では平均量は弾性論によって記述できるものの、サンプルによっては反発係数が1を超える異常反発があることと、その出現確率の見積もりをした論文等では、ロシアの国際会議でplenary talkをし、Physical Review Focus,Science News,東京(中日)新聞等のマスメディアでも取り上げられる等大いに注目を集めた。研究計画の最終年度にこのように大きな成果を次々と発表できたことに勝る喜びはない。
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