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2006 年度 実績報告書

コーヒーカップから宇宙までー乱流揺らぎの物理学

研究課題

研究課題/領域番号 18540373
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

藤 定義  京都大学, 理学研究科, 助教授 (10217458)

キーワード乱流 / 乱流相対拡散 / 自己相似電信方程式 / 秩序構造 / 直接数値シミュレーション / 流体物理学 / 乱流混合
研究概要

乱流相対拡散は、乱流の慣性領域における自己相似性のため、粒子間相対距離の平均自由行程を一意に定義することができず空間スケールに依存して決まることと、乱流中の自己相似なコヒーレンスのため相対距離の運動が持続性を持つ。
これら二つの性質のため、乱流相対拡散は拡散方程式型の方程式では記述されないと考えられるが、現在のところ、実験や数値計算ではRichardsonの拡散方程式が乱流相対拡散のモデルとして支持されている。しかし実験や数値計算で乱流相対拡散の統計を取るためには極めて多数の粒子対の運動を長時間追跡する必要があり、近年の実験や数値計算でも未だ粒子対の運動の詳細な分析は難しく、相対距離の分布について決定的な結果が得られているとは言い難い。また粒子対の運動そのものについては、実際に実験や数値計算の結果を詳細に分析することができるようになったのは近年のことであるため、相対拡散の背後にある粒子対の運動の物理的描像はまだ確立されていない。
本研究では、2次元自由熱対流乱流における相対粒子拡散をExit-Time統計を用いて詳細に分析した結果を元に、実際の乱流中での粒子対の自己相似的かつ持続的な有限速度の運動をモデル化し、相対拡散の新しいモデルである自己相似電信モデルを提案した。
このモデルにより、自己相似性、持続性、有限速度の三つの特徴を取り込んだ相対距離の確率密度関数に対する閉じた発展方程式(自己相似電信方程式)が初めて得られた。更に、自己相似電信方程式は相対距離が平均よりも十分小さい領域においてRichardsonの拡散方程式にドリフト項を加えた形で近似されることが示された。これにより、実際の実験や数値計算において粒子対の運動が持続的なものであっても、Richardsonの拡散方程式の予想に近い結果が得られる事の理由が明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Invariants of the Richardson equation2006

    • 著者名/発表者名
      K.E.Lonngren, S.Toh
    • 雑誌名

      Chaos, Solitons & Fractal (On line)

      ページ: 30/Jun

  • [雑誌論文] Turbulent relative dispersion in two-dimensional free convection turbulence2006

    • 著者名/発表者名
      T.Ogasawara, S.Toh
    • 雑誌名

      J. Phys. Soc. Jpn. 75・10

      ページ: 104402

  • [雑誌論文] A new model of turbulent relative dispersion : a self-similar telegraph equation based on persistently separating motions2006

    • 著者名/発表者名
      T.Ogasawara, S.Toh
    • 雑誌名

      J. Phys. Soc. Jpn. 75

      ページ: 083401

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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