研究課題
乱流における輸送現象は、我々の身の回りから宇宙のスケールまで階層的に遍在し、現象の理解と共に環境問題などを始めとする応用の面からも非常に重要であるにもかかわらず、その基礎的な理解は十分ではなかった。本研究では、乱流輸送現象の基礎付けとして2粒子相対拡散を対象とし、相対距離の分布関数の時間発展を記述するモデルを構築しその適用範囲を明らかにすることを課題としている。本年度は昨年度導いた自己相似電信方程式の適応範囲を確かめるために、実験結果と比較を試みた。ボーデンシャッツらは、乱流中の粒子を追跡する高精度の実験装置を開発し、粒子対の初期発展を定量的に求め、相対距離が時間に比例するバチェラー則の確認した。従来のモデルはバチェラー則を再現しないが、自己相似電信方程式はこのバチェラー則を再現できることを確認した。更に、直接数値シミュレーションと比較することにより、相対距離の分布関数には有限広がりを持つ前縁が存在し、その形状が直接シミュレーションの結果と比較的良く一致することを示した。しかしながら、我々のモデルは、相対速度の相似性と相関は取り入れているが、分布を取り入れていないため、初期発展において上記前縁部に粒子対が集中する欠点を持つ。この分布を取り入れることは、次年度の課題である。乱流混合の基礎付けとして、2次元自由熱対流系の界面の時間発展を対象とし、直接数値シミュレーションを用い詳細を調べた。界面の複雑化課程は、自己相似的構造形成過程と大域的な微細構造形成過程が存在することを明らかにした。界面の複雑化過程を反映した混合のモデル構築を行う。
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ページ: 148-150
Advances in Turbulence XI: Proceedings of the 11th EUROMECH European Turbulence Conference
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