研究概要 |
先ず,液晶光バルブのwrite光と印加電圧に対する応答特性を評価するために,位相変調量の自動測定システムを作成した。そして,光フィードバックが無い状態において,印加電圧およびwrite光強度に対するread光の位相変調量の測定を行った。液晶光バルブの応答特性は,3つのパラメーターをもつ解析関数で近似的に表すことが可能であり,実験によってパラメーターを決定した。 自己組織化パターンは,液晶の傾き角に双安定性が生じる実験環境で発生する。そこで,液晶光バルブに光フィードバックを課し,write光と印加電圧を変化させて位相変調量を測定し双安定条件を求めた。そして,干渉式光フィードバック下での液晶光バルブの位相変調量(液晶分子配向)の記述する現象論的モデルを作成した。このモデルでは,位相変調の時間変化は拡散型の減衰と応答特性を反映したフィードバックに依存する。実験で得られた特性パラメーターを用いて,位相変調量の線形安定性解析を行ったところ,先の実験とほぼ同じ条件で位相の双安定性を得ることができた。 次に,このモデルで回転干渉型光フィードバック下での花弁状パターンを再現するシミュレーションを行った。フィードバック角度が360°と整合する場合,双安定領域で静的な花弁状パターンが出現し,電圧の増加と共にパターンが揺らぎ,時空カオスへと移り変わる。また,フィードバック角度が360°と整合しない場合には,回転する花弁状パターンが出現する。回転の各速度とフィードバック角依存性を調べたところ,不整合のフィードバック角の場合には,回転の方向の異なる2つの角速度の回転が存在し,フィードバック角に対するパターンの角速度に双安定性があることがわかった。これらの様子は,実験と定性的に一致しており,モデルの妥当性を示すことができた。
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