研究課題
基盤研究(C)
1.二次元・三次元反強磁性体におけるスピンギャップ相を記述するトポロジカル項付き有効理論の構築一次元反強磁性体のHaldane-Affleck理論(整数・半整数スピンの別によるギャップの有無、およびボンド交替の強さの変化による逐次量子相転移)は、θ項(トポロジカル項)付きの非線形σ模型により説明され、ギャップの有無や量子臨界点の存在はトポロジカル項の係数θの値に対するこの模型の振る舞いの違いとして理解される。本研究ではこのような有効理論へのマッピングが二次元、三次元に拡張できることを示した。すなわちネール秩序とダイマー化秩序との競合を表す複合秩序変数についての非線形σ模型を構築し、θ項による量子効果としてスピンギャップ相や、異なるダイマーパターンの基底状態間転移を表す量子臨界点を記述できることを見出した。2.スピノン励起を持つ二次元磁性体の実験結果の理論的説明二次元磁性体Cs_2CuCl_4において、スピノン励起の存在が一連の実験により明らかにされ、関心を呼んでいる。本研究(UCサンタバーバラ校、ユタ大との共同研究)ではこれが一次元的な異方性を持つ反強磁性体としてベーテ仮説法を援用して扱うことにより極めて自然に説明されることを見出した。2.磁場中反強磁性体の磁化過程におけるベリー位相効果磁場の元での反強磁性体の磁化過程の一般論は、一次元以外では確立しておらず、新規量子物性を探索する格好の舞台となる。本研究(京大基研)では、任意の空間次元において、スピン配位のボルテックスに伴うベリー位相を用いて、一次元の既存の結果の再現、その高次元での一般化、更に分数磁化プラトー出現条件の特定を行った。
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