研究概要 |
本年度は光量子情報システムの解析に関して下記の研究結果が得られた. 1.弱いコヒーレント光とパラメトリック下方変換(PDC)で得られる光子対の量子重ね合わせを解析した.コヒーレント光とPDC光の平均フォトン数が等しいときに,最大のN光子コヒーレンス(NOON状態)が発せされることを示した.発生確率が等しい場合の忠実度は94%に達する.線形光学によって,効率を低下させること無く任意の光子数のNOON状態を生成する初めての方法であり,高い光子数のNOON状態生成の実証実験における重要な手法となる. 2.ランダムなガウスノイズから生じる光子クローニング効果に関する解析を終了した.光子の増幅なしに,高い忠実度の光子クローニングが達成できることを示した.特に,単一量子ビットの連続変数テレポーテーションにおけるノイズの導入により最大のクローニングと白色ノイズの混合が生じることを示した.出力状態の分解を行うことにより,このノイズを含む状態におけるクローニング効率を決定した. 3.金ナノロッドを用いたナノ光アンテナの作製に対する条件を解析した.ナノアンテナの実現において,物質における吸収が最も重要な問題であることを示した.またこの問題が,ロッドを十分に大きくし放射が吸収を上回るようにすることで解決できることを示した.金の場合には100nm程度の大きさが適切であることが明らかになった. 4.量子フィルターの性質を解析し,最小セットの測定を明らかにした.光量子フィルターはパリティー対称性を破ることなく,直線偏光から円偏光を生じさせることが可能であることを示した.直線変更また実験結果を評価する方法を定式化した.本件に関する実験が協力関係にあるチームで進行中である.
|