研究概要 |
ラムダ型3準位系を持つ原子においては、2光子共鳴条件を満たす2つの入射電磁波(強いカプリング光と弱いプローブ光)が存在すると、プローブ光の透明化が引き起こされ、それを電磁誘導透過(Elect romagnetically Induced Transparency: EIT)と呼ぶ。我々は、媒質は透明になるのみならず、入射プローブ光を増幅するパラメトリック増幅(Parametric Amplification: PA)作用があることを理論的実験的に示してきた。このようなPAの状況においては、信号光(プローブ光)とアイドラー光(ストークス光)は、強度相関を持った相関光子対としてともに成長していく。今年度は、このようなPAの系に外部共振器をセットすることにより、予想通りパラメトリック発振が引き起こされることを実験的に観測し、Optics Lettersに発表した。(Opt.Lett.34,698(2009))トータルの変換効率は39%と極めて大きく、外部共振器長をピエゾ素子で制御することにより、安定した発振を達成することができた。さらに、信号光とアイドラー光がパルスとしていかに伝搬するかを調べるため、信号光をガウシアンパルスとして系に入射し、信号パルスとアイドラーパルスのパルス伝搬の様子を調べた。電磁誘導透過に見られる鋭い透明窓のため、両パルスは光速度の1/500程度の超低速パルス伝搬をすることが観測され、両パルスは、お互い離れることができないmatched pulsesとして伝搬していくことが観測された。このような増幅を伴う超低速伝搬の観測をOptics Lettersに投稿し、また、Slow Light2009国際会議に投稿中である。
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