研究課題
基盤研究(C)
本研究では、原子分子の多重電離過程を明らかにするために電子の多重同時計測法を採用した。電子に対して高い捕集効率を持つ磁気ボトル付き飛行時間型電子エネルギー分析器と放射光のパルス特性が本計測法のポイントである。Ne原子では、外殻の2電子が放出される二重電離過程を詳細に調べることにより、終状態まで分離したNe原子の2価イオン生成断面積を広いエネルギー範囲にわたって求めた。この結果は、二重電離過程の理論的取り扱いに一つの指針を提供した。Xe原子では、4p光電子の異常な振る舞いに着目し、そのしきいエネルギー近辺で二重電離過程を調べたところ、4d内殻軌道から2電子が放出された2価イオン生成の増大が観測された。測定して2電子のエネルギー相関スペクトルから2価イオンの終状態および生成過程を詳細に調べた結果、4pの1重電離過程で生成したXe4p^<-1>状態の非常に早いSuper-Coster-Kronig過程がXe4d^<-2>生成に重要な寄与していることが判明した。このことは30年以上前に理論的に予測されていたが、本研究により初めて実証できた。さらに、CO分子の内殻電離に伴い外殻電子が一緒に放出される二重電離過程の研究を行った。生成する終状態の同定を理論計算と付き合わせることにより、内殻ホールが生成される原子の近傍の外殻電子が一緒に放出される確立が高いことを示すことができた。またこれらの研究成果は、次ページ以下に示すように学術雑誌および会議で発表した。また、本申請により製作した光チョッパーが平成19年度に完成し、現在三重電離過程の研究を進めている。
すべて 2008 2007 2006 その他
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (21件) 備考 (1件)
Physical Review Letters 98
ページ: 183002(4)
Physical Review A 76
ページ: 012717(7)
Journal of Chemical Physics 127
ページ: 044305(4)
ページ: 032708(6)
Journal of Physics B 40
ページ: 4047-4060
Phys. Rev. Letters 98
ページ: 183002
Phys. Rev. A76
ページ: 012717
J. Chem. Phys. 127
ページ: 044305
ページ: 032708
J. Phys. B40
ページ: 4047
Physical Review Letters 97
ページ: 053003(4)
Journal of Physics B, Atomic, Molecular and Optical Physics 39
ページ: 1017-1033
ページ: 3457-3464
Phys. Rev. Letters 97
ページ: 053003
J. Phys. B39
ページ: 1017
ページ: 3457
http://pfwww.kek.jp/ito/ItoGroup1/