前年度に開発したR行列法を用いた計算を行った。電子・分子衝突で知られる解離性付着、解離性再結合のエキゾティック粒子バージョンについて調べてみた。普通の分子では、これらの過程は最小系でも4体、5体問題であるが、本研究主題の中心である重い負粒子を考えることにより、3体問題になり厳密な量子力学的計算が可能になる。これにより、厳密な計算が不可能であった分子物理の重要な研究課題である電子付着・再結合過程の理論的理解をさらに摧し進めることもできた。 1.電子とミューオン水素原子の衝突による解離性電子付着過程の研究。これは電子と水素分子の系に似ているが、強いダイポール相互作用があるためこの系特有の特徴を示す。 2.電子と反陽子ヘリウムイオンの衝突による解離性再結合過程の研究。これは電子とHeHイオンの系と似た特徴を持つ。リドベルグシリーズで共鳴が現れ、共鳴が解離性再結合に重要な役割を果たす。
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