昨今、反水素原子の大量生成とその制御が可能になった。今まさに反物質科学の黎明期といえる。今後さらに発展が期待される反物質研究の新たな局面に対応できるように、本研究は物質と反物質の相互作用及びその反応諸現象を原子物理の立場から解明することをめざしている。 物質・反物質相互作用の基本的問題として水素と反水素(H+H)の反応を挙げることが出来る。本研究ではこの反応に対して第一原理から出発した量子力学的精密計算を行うことを最終目標としている。しかし、この精密計算を一足飛びに行うことはかなり難しい。そこで、計算機環境を整備しつつ、この目的に達するための手順として、部分系あるいは問題点を特定したより簡単な系の計算を段階的目標(例えば反陽子と原子の反応)として設置している。
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