本研究は、非平衡条件下での膜の大変形過程のダイナミクスを理解するために、流体中の膜の運動を記述する一般的な枠組みを構築し、それに基づいた数値モデルの確立を目的とする。それを達成するため、膜の運動の記述を、膜形状の時間変化、応力・歪みに関する構成方程式、および内部自由度(膜を構成する物質の濃度場、秩序パラメータなど)の時間変化として与える。上記の定式化に基づき、高分子溶液の溶媒蒸発過程における粘弾性膜の形成、乾燥過程においてゲル化と伴う系での乾燥後形状の予測、および内部自由度をもつ膜の非平衡ダイナミクスなどの問題に対して数値モデルを構成し、シミュレーションを行う。また、その結果と理論的な予想あるいは実験的事実と比較し、現象のメカニズムを明らかにする。
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