研究課題/領域番号 |
18540406
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上野 聡 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (50243605)
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研究分担者 |
佐藤 清隆 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (80034479)
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キーワード | ナノサイズ粒子 / マイクロサイズ粒子 / エマルション / 結晶化 / 放射光X線回折測定 / 界面鋳型効果 / 超音波 / 多形 |
研究概要 |
粒径を100ナノメートルサイズにして、放射光X線回折測定にてO/Wエマルション中の油滴粒子の結晶化に及ぼす超音波印加効果の測定を行った。また、比較のために、平均粒径が1.5マイクロメートルのO/Wエマルションについても同様の測定を行った。その結果、すべての粒径サイズにおいて、超音波を印加した場合の方が印加しない場合に比べて油相成分の結晶化が促進された。またその効果は、粒径サイズに逆比例していた。これは、界面の影響が大きいため、超音波が界面に影響を及ぼすために界面の割合が比較的大きいナノサイズ粒子の方がマイクロサイズの粒子に比べて顕著に影響が現れたためと考えられる。さらに、出現する多形は結晶化がより困難な安定多形であった。エマルション中の油滴の結晶化は、これまでに知られている研究成果によれば、界面の鋳型効果により結晶化が促進されることが知られている。超音波の印加により安定多形の出現が容易になることは、(1)界面の鋳型が超音波により変形を受ける力学的効果、あるいは、(2)超音波の印加により、エマルション系の温度が上昇し、低融点の准安定多形が結晶化しにくくなり、その結果安定多形の結晶化が引き起こされる熱力学的効果、のいずれかではないかと考えられる。 上記の結果は、これまで結晶化が困難であった有用物質の結晶化をエマルション中で引き起こし、その際に超音波を印加することでより顕著に結晶化を促進させることを示した点で重要である。今後、有用物質のみ、または油滴中に有用物質を添加した際の結晶化挙動を調べ、結晶化が困難な有用物質の結晶化の実現につながると考えられる。
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