本年度の研究の第一目標は最適速度模型の線形解析であるが、これに関しては肯定的な結果はなく、向きのない場合や3次元への拡張の困難が明らかとなった。線形解析の代わりとして、数値シミュレーションによる研究を行ない、生物集団では一様な条件以外の設定が必要であることが認識された。そのため、プログラムの変更作業を実施している途中である。一方、生物模型の基礎となっている1次元最適速度模型についても、国内の研究者と共同で研究を行なっている。本年度はその実験的研究の詳細な解析の論文を執筆し、現在投稿中である。また、さらに次年度以降行なう予定の共同実験のための準備作業も本年度中に行なった。本実験は来年度実施予定である。 また、生物の集団運動については、物理学的な研究に利用できるような公開データが少なく、各研究者が自分で用意する必要がある。本年度はそのような公開データ化を目指して、同期発光を行なう蛍の動画を撮影した。そのようなものとして、東南アジアに生息する蛍が有名であるが、動画撮影が比較的容易に実行できるマレーシアを撮影地として選定した。現在は、動画を解析するソフトウェア開発を準備中である。
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