本課題では地震波形相関関数探査法に関する次のような研究を行った。1.複数の地震波形相関関数探査法の比較検討、および2.波形相関関数探査法の火山探査への展開、3.波形相関関数探査法をもちいた震源波形変化に対する断面再現性の評価、4.動的地下構造への波形相関関数探査法の適用性の検討である。 これらの課題に対して本研究は当初の成果を上げることができた。すなわち、初年次と2年次で項目1と2に関して、富士火山および草津白根火山の観測データに対して解析を行い、火山探査に対する地震波形相関関数探査法の展開に成功し、それぞれを論文として発表した。さらに初年次後半から2年次目に火山性微動に対する地震波形相関関数探査法の適用を行い、火山の浅部地下構造のS波イメージングに成功した。さらに、イメージの重合により得られる等価入射波形の検討から、震源波形変化に対する断面再現性の評価を行うとともに、これまで明らかでなかった火山性微動源の移動を示唆する等価震源波形の変化を検出した。 以上のことより、地震波形相関関数探査法は火山の構造探査に有用であるばかりでなく、火山性地震や火山性微動をその解析に用いることによって、火山活動の中心である火道周辺の変化を検出できる可能性のあることが示された。成果は現在、発表準備中である。今後、この成果は火山活動にともなう地下構造の時間変化の検出・評価の方法に大きな影響を与えることが期待される。
|