研究概要 |
大気は固体地球を下端として存在している。そのため、下端が地動や海面変動により時間変化すると大気下端から大気側に波や境界波が発生する。2003年十勝沖地震時に、大気下端が地表を伝播する地震波の表面波により揺すられ下端大気中に圧力波が発生していることが、地震観測点に設置した微気計記録から明らかとなった(Watada, et al. 2006)。地表変位速度と発生した大気圧変動の間には比例関係が成り立ち、その比例定数は大気波動線形運動方程式から導かれる。地震波は大気音波より一桁速い速度だが、津波は大気音波よりも遅く伝播する。下端の変形の水平位相速度が音速より速い場合と遅い場合、大気はどのように応答するだろうか。下端の変形の周期がacoustic cut-off周期よりも長い場合と短い場合、またbuoyancy周期よりも長い場合と短い場合でそれぞれ大気の応答が異なると予想される。等温大気について、下端で発生する圧力変動の位相と振幅を、下端境界の周波数と波数を独立変数として表現に成功した。 音波を含んだ密度成層する等温大気の線形運動方程式から、任意の方向を向いた平面波を仮定し、下端での圧力変動と下端の上下変位速度の比を、密度成層する大気中の波動の分散関係を利用して下端境界の波数と周波数の関数として表現する。鉛直方向に伝播可能な波動は、下端から上方へ伝わる郡速をもつ波動のみを許すような鉛直方向波数を選んでいる。
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